虫歯予防、対策について
虫歯とは?原因やその症状
虫歯は、う蝕やう窩 (か)とも呼ばれ、多くの人々がかかっている慢性疾患です。そして、最も予防しやすい疾患でもあります。特定の物を食べると、歯の上の細菌がそれを分解して酸を作り出します。この酸が歯の硬組織を破壊し、その結果として虫歯ができます。
一般的に、虫歯は歯の2つの部分で発生します。咬合面(こうごうめん)う蝕は、直に食べ物が当たる歯の一番上の部分で、隣接面う蝕は歯の間で起こります。これらの2つの場所で、細菌が化膿を起こし、お口の衛生を危険にさらしているのです。歯のかみ合わせ面、歯間のすき間、および歯根に近い表面が、最も虫歯になりやすい場所です。
歯とその周囲の部分が適切にケアされていないと、細菌が口の中の食べ物から残った糖を分解し、排泄物として酸に変えます。こうした酸は歯のエナメル質を脱灰(だっかい)するほど強力で、小さな穴をつくります。これが虫歯の初期段階です。歯は唾液よって強化されたカルシウムとリン酸の構成を維持する能力を持っていますが、エナメル質が分解されるにつれてこの能力を失ってしまいます。次第に、酸が歯に浸透し、内側から破壊していきます。歯ブラシやデンタルフロスが届きにくい位置にある歯もまた、歯垢(プラーク)がたまりやすく、それゆえ虫歯が形成されてしまいます。
虫歯菌はどこから来る?
虫歯菌の中でも代表的なのはミュータンス菌です。興味深いことに、新生児の口内にはミュータンス菌がありません。周りの大人の唾液に含まれている菌が感染するのです。たとえば、箸やスプーンで食べ物をあげたり、同じコップで飲み物を飲んだり、キスをしたりすることで感染します。
虫歯菌は歯の表面に住みつくので、乳歯の生え始めから生えそろうまでの、およそ1歳半から3歳ほどの時期は特に注意が必要です。
はじめからミュータンス菌に感染しないで済むなら、殺菌・消毒の必要もなく最善の方法といえます。とはいえ、私たち大人の大半はすでにこの菌が口内にある状態ですので、虫歯の予防のためには、数々の方法で殺菌や消毒に努めるしかありません。
虫歯を防ぐには?
口の中にある虫歯菌を完全に殺菌・消毒しきることは難しいですが、適切なお口のケア習慣を実践することで、かなり減らすことが可能です。個人で普段の生活の中でできるケアと、歯医者さんでしてもらう専門的なケアの両方を行うことで、虫歯菌の殺菌・消毒に努めましょう。 虫歯を防ぐのために歯医者さんが推奨することとして、以下があげられます。
虫歯の予防には、よいオーラルケア習慣を保つことが一番大切です。エナメル質の小さな傷は、通常の歯磨きとフッ素で修復することも可能です。エナメル質は、唾液中のミネラルや歯磨き粉等に含まれたフッ素で修復されます。虫歯予防効果のあるフッ素配合歯磨き粉を使用することは、大変効果があります。フッ素はお口の健康を促進することが明らかになっています。フッ素配合の洗口液、歯磨き粉、ジェルを使って1日2回、2分間以上ブラッシングしましょう。口内を4分割した1区間につき、最低でも30秒ブラッシングしましょう。
フッ素配合の製品を使って、虫歯菌の活動や歯にダメージを与える酸の生成を抑制することができます。歯医者さんで定期的にフッ素を塗布してもらうのもよい方法です。
特に甘い食べ物や飲み物をよく摂る場合は、ブラッシングの後にフロスをしましょう。糖分の多い食べ物により、歯の硬組織にダメージを与える酸が生成されます。
歯医者さんで歯のクリーニングをしてもらうのも効果的です。歯垢が蓄積すると、そこに虫歯菌が住みつきやすくなり、バイオフィルムと呼ばれる膜のようなものができてしまいます。一度形成されてしまうと粘着力が強すぎて、通常の歯磨きでは落としきれません。