兄の想い出

2023/11/14

兄が旅立って、4年が過ぎました。

子供の頃、5つ年上の兄は、私にとって随

分年上に感じてました。兄は、寡黙な父

に似て無駄口を叩かず、私とはいつも距

離があったように感じてました。

真面目な父が、50歳を超えて胆のう癌

で急逝した時、私はまだ、浪人をしてま

した。当時兄は大手建設会社に就職し、

北海道で働いていました。父の死後、翌

年、私は無事に大学に合格し、両親の夢

を叶える事が出来ました。

あれから40年、新国立競技場の完成まで

はと、父に似て真面目な兄は、建設会社

を勤めあげる予定でした。ところが、退

職間近の年の始めに癌を宣告され、命の

期限を1年ときられました。ちょうど、今

の私の歳です。

兄に甘えることもなく、それでいてどこ

かにいてくれる安心感で、私は生きてき

ました。

最近無精をして、床屋に行くことをさぼ

ってます。若いときにはいろいろ染めて

はいたのですが、自然の成り行きに任せ

ていると、白髪が目立ってきます。そん

なとき、ふと、鏡の中に兄を発見しまし

た。ずーっと、距離があった兄に毎日何

度も顔を合わせています。兄ももっと話

がしたかったのかな?と、自問自答で

す。

大腸カメラの検査のため、2リットルの水を

飲みながら、兄のことを考えてました。